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COLUMN

【和尚の問わず語り】vol.1/11 「光陰むなしく渡ることなかれ」

2020.09.25

『すべからく知るべし  時光はむなしくわたらず  人はむなしく渡ることを』

道元禅師

 

昔、お月さんと、お日さんと、雷さんが旅をしました。宿についた三人は夕食もすませ

お風呂に入ってその日は早々に寝床につきました。

あくる朝、雷さんが起きてみるとお月さんとお日さんの姿が見えません。不思議に思って

宿の主人にたずねました。「おはようございます。ちょっとお尋ねしますが、昨日一緒に寝たはずの

お月さんとお日さんの姿が見えないのですが、ご存じありませんか」

主人が言いました「雷さん今お目覚めですか。お尋ねのお月さんとお日さんなら、もうとっくにお発ちになりましたよ」雷さんが言いました「そうですか、お月さんとお日さんもう発ってしまいましたか。月日の経つのは早いもんだなあー」「ところで雷さんはいつお発ちになりますか。そうさなあー、わしは夕立にしょう」

という小話があります。

月日の経つのは早いもの、「光陰むなしく渡ることなかれ」と言いますが、これは時間のほうがむなしく過ぎているわけではなく、流れ行く時間を無駄に過ごしているのは人間のほうだと、教えているのです。

そうかもしれませんねー。

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プロフィール
住職 長峰広道
昭和34年8月24日に新庄市に生まれました。駒澤大学仏教学部禅学科を卒業後、福井県にある大本山 永平寺や横浜の總持寺での修行を経て、平成11年から20年間、福田院の住職をしています。
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